もう今年も残すところ一カ月をきりました! 12月は「師走」というだけあって、なにかとあわただしくあっという間に過ぎてしまいがちで、気づけばもうお正月も目前、という方も多いかもしれませんね。
一年の始まりである1月、またそのスタートの一日を迎えるにあたり、日本では独自の美しい文化があります。普段なにげなく取り入れている風習も、今一度、その意味や意義を知れば、もっとおもしろく、大切に思えるはず。日本独自のお正月行事を、その意味も含めてご紹介いたします。
お正月とは
もしお子さんに「お正月ってなぁに?」と聞かれたら、どう答えますか? お正月に関係する鏡餅や正月飾りなどもそのルーツをたどればつながっています。今年はお正月のルーツなどの話もしながら、お子さんとお正月準備ができるといいですね。
お正月の意味
お正月は、新しい年の始まりに「年神様(としがみさま)」を家族みんなでお迎えする行事です。年神様は日本各地で信仰されていた、日本人の生活に重要であった農耕に関わる神様であり、健康をもたらし、子孫繫栄や五穀豊穣を授けてくれる神様だと言われています。
お正月は、家族の一年の幸せを願い、年神様を迎え入れる、大切なイベントというわけです。
私たち日本人にとってお正月に馴染み深いもの、「初詣」や「おせち料理」「門松」などは、すべてそのルーツは年神様への祈りであったり、年神様を迎えるにあたっての準備だったりします。
お正月期間
「お正月」という言葉自体は、一年の初めの月のことをさします。ただ、実際の認識としては、特に元旦から7日まで(地域によっては15日程度まで)をお正月期間と認識している場合が多いと思います。
また、よく同意語として使われがちですが、「元日」と「元旦」も意味が違います。「元日」は1月1日のことであり、「元旦」は元日の朝のことです。
お正月の準備
日本のお正月は、独自の行事や文化が豊かに広がっています。これらの行事は、家族や地域社会を中心にした大切なイベントで、その準備は前の年の年末から始まります。
大掃除
一年の節目として、大掃除するご家庭も多いことと思います。もちろん、新しい年を迎えるにあたって心身気持ちよく!という意味も大いにありますが、やはり年神様を迎え入れるにあたって、身の回りを整えておく、その意味が本来のルーツなのです。
正月飾りとその意味
正月飾りはお正月の象徴であり、門松やしめ縄などが一般的です。これらの飾り物にはそれぞれ意味が込められており、家庭や神社によって異なる解釈がなされています。
門松
門松は年神様を迎えるにあたり、年神様が探しやすいように家の目印として置く、という意味がありました。
松は繫殖力が強く永遠性や生命力を感じることができるため、縁起がいい植物として選ばれたと言われています。
しめ縄
しめ縄は、結界を張って厄除けをするためのものという意味があります。しめ縄は邪気を払い、清めるために玄関に掲げられます。
神の世界と現世を隔てる境界の役割を果たしていて、お正月にしめ縄を飾ることで年神様が安心して現世に降臨できる神域を作り、お迎えするという意味で飾られています。
鏡餅
鏡餅は神様のお供えでもあると同時に神様が宿るものとしての意味もあります。古くからお米には1粒1粒に神様が宿っていると信じられており、神様が宿っている米粒を固めて作る鏡餅は、さらに強い神の力が宿る神聖な食べ物と考えられてきました。
1月11日または1月13日に行われる「鏡開き」は、鏡餅の中から取り出されたもち米を調理し、家族や親しい人たちと共に食べる儀式。鏡開きは新年の始まりを意味し、無病息災や豊穣を祈る行事鏡開きには、お正月が過ぎ年神様をお見送りした後にみんなで食べて、神様の力をいただく、という意味があります。
正月飾りいつから飾る?
お正月飾りは、正月始めと言われる12月13日以降なら、いつ飾り始めてもよいとされています。
とはいえ、クリスマス真っ盛りの時期にお正月飾りをつける家庭はほとんど見かけないため、クリスマスが過ぎた12月26日以降に飾ることが一般的でしょう。
また、12月29日は9の数字が苦を連想させることから「苦が二重になる」という意味があるとされ、12月31日は「一夜限り」が葬儀を連想させることから、飾り始めるにふさわしくない日とされています。
そのため正月飾りは12月28日までに済ませるか、12月30日に行うのがベストです。
年越しそば
年末の風物詩ともいえる年越しそば! 大晦日に、縁起を担いでおそばを食べる食文化が日本にはあります。そばが細長いことから健康や長寿の願いを込め、また、他の麺類に比べると切れやすいことから、不運や苦労を断ち切る、という意味があるのだそう。
地域による特色もあり、呼び方も、大晦日蕎麦、年取り蕎麦、年切り蕎麦、縁切り蕎麦、寿命蕎麦、などなどあるようです。
お正月の定番
年が明けたら、みなさんは何をしますか? ここではお正月の定番と、そのルーツや意義をご紹介いたします。
初詣
新年あけて一番はじめに神社やお寺にお参り行き、新しい一年の幸せを祈願することをいいます。
「初詣」に期限はありませんが、通常、三が日の間に行く人が多く、松の内(7日または15日)の間に行けばいいかなといった感じです。1年の初めのお詣りなので、少なくとも1月中旬くらいには済ませたいものです。
おせち料理とおとそ
おせち料理は、年神様を迎え新年を祝うための、日本のお正月の伝統的な家庭料理です。おせち料理の準備も、お正月を迎えるための大切な準備のひとつですね。
また、お屠蘇(おとそ)は、一年の無病長寿を願い、正月に飲む特別なお酒です。「屠蘇散(とそさん)」と呼ばれる5~10種類の生薬を配合したものを、日本酒やみりんに漬け込んだ薬草酒。地域によっては日本酒をお屠蘇代わりに用いる場合もあります。元旦(元日の午前中)の、おせちを食べる前に飲むのが正しいルーツとされています。
お年玉
子どもたちにとってはおそらくこれも楽しみのひとつでしょう。お年玉は、新年を祝うために贈られる金品のことで、とくに現代では子どもに金銭を与える習慣のことをさします。つまり、目上の者が目下の者に贈るものをさし、反対に、目下の者が目上の者に贈る場合は「お年賀」といいます。
お正月のおわり
実感としては、1月3日をすぎたころから徐々に日常に戻っていく雰囲気がありますが、お正月の終わりを告げる「小正月(こしょうがつ)」という行事があり、地域ごとに異なる形でイベントがおこなわれています。
正月飾りを片づけるタイミング
門松などお正月飾りをしまうタイミングは、年神様がいらっしゃるとされる期間、「松の内」が過ぎたときがベストです。
松の内の期間は地域によって異なり、関西地方では1月15日まで、東北・関東・九州などは1月7日までといわれています。
七草がゆ
小さいころ、春の七草、覚えましたよね! 「セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ」。これらは早春に芽吹く、いわゆる日本のハーブ。旬なものをいただき邪気を払う意味と、お正月のイレギュラーな食習慣などから疲れ気味の胃をいたわる意味もあり、一年で最初の節句の日、1月7日「人日の節句」に春の七草がゆを食べます。
年が明けるとスーパーに「七草がゆセット」がパック売りされるようになりますので、ぜひ、古くからの日本の知恵を生活に取り入れましょう。
小正月
年末の準備から元旦、そして松の内と続いてきたお正月を締めくくる行事を「小正月(こしょうがつ)」といい、一般的な日程としては1月15日、または14~16日の3日間にわたるとされています。
小正月のイベントとして最も知られているものが「左義長」や「どんど焼き」と呼ばれるもので、前年のお札や、門松、しめ縄飾りなど正月飾りをお寺や神社の境内、河原などに集めて焼く行事です。火を灯し、新しい年への期待と感謝の気持ちを込めます。
こうしてみると、日本のお正月にはさまざまな風習や由来があり、そしてそれらには歴史や日本人の信仰心、自然への感謝などが反映されていることが改めてわかります。
こうした日本特有の美しい文化は、ぜひともお子さまと一緒に楽しんで、受け継いでいきたいものです。
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